インドの新車販売台数が世界3位、その背景と今後のポイントについて

2023年01月27日

write by 加藤

1月5日の日経新聞によると、インドの新車販売台数が日本を抜き、初めて世界3位となりました。
1位：中国　　2686万4000台
2位：米国　　1360万台
3位：インド　425万台
4位：日本　　420万台

インド国内シェアNo.1の自動車メーカーはスズキの子会社、マルチ・スズキ社です。
そのマルチ・スズキ社から2022年に発売されたものでは、約89万円～約138万円など、手頃な価格も魅力です。

https://www.suzuki.co.jp/release/d/2022/0224/index.html

インドといえば、人口や国土が大きい国ですが、インドの新車販売台数が伸びている背景には何があるのか、調べてみました。

世界一になりつつあるインドの人口

人口はインド13億9341万人、日本は人口が1億2551万人。
インドの約14億人の人口は、2023年には中国を抜き、世界一となる見通しです。

日本の人口は1980年からほぼ横ばい、2005年頃から減少しつつあります。

インドの年齢別の人口では、10代～30代の人口の割合が高いです。
40歳を超えるとぐっと少なくなっていきます。

インドと比較してみると、日本の人口は40歳～70歳代の割合が多いです。

矢印部分の生産年齢人口（15歳以上65歳未満）では、インドは若手が多く、これからの産業の発展に期待が出来そうですが、日本では若手が減少しているため、残念ですが人数だけで見れば期待はしにくいと思われます。

参考：GraphToChart.
「グラフで見るインドの人口ピラミッド(全年齢・男女別・過去との比較・少子化と高齢社会の考察)」
最終更新:2020-08-30. (参照日時:2023-01-25)

「グラフで見る日本の人口ピラミッド(全年齢・男女別・過去との比較・少子化と高齢社会の考察)」
最終更新:2020-08-30. (参照日時:2023-01-25)

インドの新車販売台数は、国内向けよりも輸出が伸びている

インドの自動車の新車販売台数増加と、インドの人口増加による需要には関係があるのでしょうか。

（参考：SIAM（インド自動車工業会）のデータより算出）

2021年度の乗用車の販売台数は、生産・国内販売・輸出台数ともに増加となっていますが、特に輸出台数が42.9％増加しています。

実はインドでは、世帯当たりの乗用車所有率は2021年に8.5%（英調査会社ユーロモニターによる）と少なく、輸出台数の前年度比は、国内販売台数の前年度比よりも3倍以上多くなっています。

インド国内では新車は高級品？

インドの人件費は、製造業のラインワーカーの平均で月給27,385インドルピー、日本円で約41,000円～43,000円程度です。（インド日本商工会、日本貿易振興機構（ジェトロ）より）

月給41000円の人が、約90万円の新車を購入する場合、約20か月分の給料で購入することが出来ます。
日本でなら、月給30万円の人が600万円の車を購入するイメージです。中古車等も含めると全く手が届かない、ということもないでしょう。

現状では輸出の伸びが大きいですが、インド国内の販売台数が前年度比13.2％増となっているため、乗用車所有も今後増えていくのではないでしょうか。

政府が後押ししている自動車産業をはじめ、インド経済全体に注目したい

インド政府は自動車産業への支援を行っていて、補助金政策を導入しています。
2022年には、電子機器などの国内製造業のための「生産連動型優遇策（PLI）」の対象に、自動車や自動車部品を追加しました。

さらにインド政府は2030年までにEV（電気自動車）の新車販売台数を、乗用車全体の3割にするよう、目標を掲げています。
政府の後押しもあって、今後のインドの自動車産業には期待です。

また、自動車産業だけではなく、インドSENSEX指数はコロナ禍以降も順調に伸びています。

S&P500とインドSENSEX指数を、新型コロナの流行が始まった2020年から比較してみると、2022年以降はS&P500が下落している中、インドSENSEX指数は伸びています。
2022年はオミクロン株の感染拡大が顕著になりましたが、インドは感染症対策と経済活動の両立を図ってきたことが理由に挙げられます。

参考：
世界経済のネタ帳

自動車産業を含む第二次産業はGDP構成比の内、約3分の1。
その分野が伸びていることと、人口増加により、インド経済は今後も期待が出来そうです。

特に今後20～30年間ほどは生産年齢人口の増加が期待できるため、近年大きく発展しているIT産業をはじめ、インド経済全体に注目したいと思います。